四角い言葉ではなく丸い言葉で。「ひらがなで話す」技術 西任暁子
音声入力を上手に使うには簡単な言葉で話すことが大切
音声入力をすると、難しい言葉よりも簡単な言葉で話した方が誤認識が少ない、ということに気づきました。
なんででしょうね?
その答えを探すために読んだのがこちらの本です。
この本の目次で気になった3つのこと
1 ひらがなで話すとどうして伝わりやすいの?
2 丸い言葉、四角い言葉ってなに?
3 「間」や「声」はどうやって作るの?
この3つの疑問を中心に読んでみました。
1 ひらがなで話すとどうして伝わりやすいの?
そもそも、どうしてひらで話すと伝わりやすいのでしょうか?
「人は〝ひらがな〟で話を聞いている」 実は、多くの人がこのことに気づかないまま、相手に伝わりにくい話し方をしてしまっているのです。
今、このブログを読んでいただいているわけですが、それは文字を目で読んでいます。ぼくが文字をタイピングしたものを視覚を使って受け取ってるわけです。見た目なら漢字も一瞬で判別できます。
これが、話すということになると、当然ですが「音」にして伝えるということになります。そうすると音で漢字を伝えることは出来ません。でも伝える側は漢字をイメージして話してしまいます。そこに話す側と聞く側のズレが生じるということです。
あなたが話している途中で、「 効果」という言葉を使ったとします。この 時、あなたが声にしているのは「 こ」「 う」「 か」という三つの音です。頭の中で「 効果」という漢字や「ききめ」という意味を思い浮かべて いても、それを映像で見せたりテレパシーで伝えたりすることはできませ ん。「 こ」「 う」「 か」 と三つの音にしなければ伝えられないのです。
では今度は、聞く立場になって考えてみましょう。「こ」「 う」「 か」 と聞いているあなたは「 どこで終わるのかな?」と、声を聞きながら終わりを探し始めます。
聞く側はそれまでの話の流れや文脈で予想しながら聞くわけですが、手がかりになるのは相手がしゃべる言葉だけです。ここで知らない単語、例えば
「こうかはんてん」
と言われても、それが銀座にある中華料理屋の孔家飯店だとはわからないわけです。いったことある人なら別ですが。
まあ、ちょっとよくわからない中華料理屋がでてきたので、余計にわかりづらくなってしまったかもしれないのですが、漢字や難しい単語はひらがなより伝わりにくいということです。本文から例を引用します。
次に挙げるAとBの言葉をそれぞれ比べてみて下さい。わかりやすいのはどちらだと思いますか?
A:視覚、悲報、分解
B:目で見る、悲しい知らせ、分ける
ぱっと「見た」時にわかりやすいのはAだと思います。でも聞いた時はどうでしょうか?それぞれ聞いたときを想像してみて下さい。Aではない気がしますよね。
目で見てわかりやすい言葉と耳で聞いてわかりやすい言葉は、同じではないのです。
試しにそれぞれひらがなにしてみると、このようになります。
A:しかく、ひほう、ぶんかい
B:めでみる、かなしいしらせ、わける
始めからこの引用を出せば孔家飯店の話はいらなかったですね。
Aはぶんかいは分解の他には思いつかなそうですが、しかくは死角、ひほうは秘宝と変換してしまうかもしれないですね。そうすると聞き手のイメージは話し手が伝えたいこととは全く違うものになってしまいます。
でもBの言葉はそういった心配はないということです。こういった子どもでもわかりやすい漢字が思い浮かびやすかったり、漢字にしなくてもいい言葉を西任さんは「丸い言葉」と呼んでいます。
四角い言葉を丸い言葉にする3つの方法
なるほど、ひらがなで話す方が伝わりやすいということがわかりました。では、どうしたら四角い言葉を丸くできるのでしょうか?西任さんは3つ丸め方を教えてくれます。
1 分解する
2 意味を説明する
3 翻訳する
1 分解する
山の高低→山の高い低い
詳述します→詳しく述べます
粘弾性物→粘っていて弾力のあるもの
このように、熟語となっているものを分けるということです。ちなみに、いまタイピングしていても漢字変換がスムーズでした。そういう部分もわかりやすいことと関係ありそうですね。
2 意味を説明する
転居→引っ越す
視覚→目で見ること
転居を「住まいを転がす」、視覚を「視る感覚」と分解してもしょうがないので、引っ越す、目で見ること、という丸い言葉で説明してしまうわけです。とにかくどうしたら同じことを丸い言葉で伝えられるかを考えるということです。
3 翻訳する
ライフコースとは、人生の道筋のことです
カタルシスとは、精神の浄化作用のことです
ダイバーシティとは、多様性のことです
これじゃあ、なんのことかわからないよ、って思いましたよね?そう、これではまだ四角い言葉なので、このように日本語にした後で丸めていきます。
ライフコースとは、人生の道筋、つまり「個人が生まれてから死ぬまでの間にたどる道のり」のことです
カタルシスとは、精神の浄化作用、つまり「心の中にたまっていたモヤモヤがなくなってすっきりすること」です
ダイバーシティとは、多様性、つまり「人種や性別、宗教などいろんな違いを受け入れていこう」という考え方です。
なんか、池上彰さんっぽい話し方ですよね、そういえば池上さんは「こどもニュース」という子供向けのニュース番組を担当していたんですよね。そういったことがあって池上さんも「丸い言葉」を使うのが上手なんでしょうね。
分解、意味を説明する、翻訳する、というこの3つを駆使して四角い言葉を丸めていけばいいということですね。
声の大きさや間を上手く使う
相手がひらがなで聞いているということは、話す「間」や「声の大きさ」もとても重要になってきます。
「話が単調だ」 「聞いていると眠くなる」 「飽きるから最後まで聞いていられない」 もし、こんなふうに言われたら、その問題は「言葉の粒」の大きさを変えることで解決します。「言葉の粒」の大きさを意識すると、声の大きさも変わるからです。
とくに次の言葉が秀逸…じゃなかった、とっても良かったです。
さて、あなた自身の音量は、何段階調節でしょうか?
そんなこと考えたこともなかったです。大きめ、普通、小さめ、の3つくらいしかないです。せいぜいあと叫ぶがあってやっと4段階です。話す時にもっと声の大きさを意識してみたいと思います。
Kindleの実際のページでわかりやすく教えてくれていますので、そのままアップしてみます
いいですね。それでは次を読んでみてください。
はい、わかりやすいです(笑)
こういう文字のイメージを持ちながら話すと自分が伝えたいことを相手に伝えやすくなるっていうことですね。おもしろいですよね。
また、「間」についても参考になることがいくつかありました。
それは、食べ物を「おいしい」と感じるまでに時間がかかることに似ています。口の中に入ってきた食べ物は、嚙んで、味わって、飲み込む時間をかけて、ようやく「おいしい」と感じられるもの。
まだ口の中に食べ物が入っているのに、次の食べ物が押し込まれたら、あなたはどうしますか?「それ以上入れないでくれー」と口を閉じるか、吐き出すか、あるいは喉を詰まらせてしまうでしょう。
たしかにー!
相手がこちらの話を考える時間をとらせることなく、一方的にこちらの話をどんどん頭のなかに突っ込んでしまう。すると相手は消化不良になってしまい、結局、こちらの話は理解してもらえない。
そして、こちらが一方的に詰め込んだのが悪いのに「こんなに一生懸命はなししているのに」と思ってしまう。
もはや口にそのままおかわりを入れ続ける、ダイレクトわんこそばになってしまっているわけですね。そりゃ〜、うまくいかないわけですよ(汗
まとめ
相手にうまく伝えるというのは、言葉を伝えることではなく、自分のイメージを相手にも持ってもらうということ。なので相手がイメージする時に使う言葉のことを考える。そうすると、誰もがイメージしやすい言葉で表現することが大切。
それを、上手に強弱や間を使うことによって、何を自分が伝えたいのかということを、よりわかりやすく相手に伝えることができる。
というわけで、音声入力について学ぼうと思い読んだ本でしたが、思いもかけず、プレゼンや会話など相手に伝えるということについてとても大切なことを学びました。
YouTubeでもご本人のおすすめコメントを見られるみたいです。話し方や間のとり方、声の粒の大きさなど考えながら聞くと、とても参考になります。