核の抑止力について学びたければ「沈黙の艦隊」を読めばいい。
沈黙の艦隊に描かれる核の抑止力
北朝鮮界隈のニュースが増えていて緊張感が高まっていますが、僕は基本的に核というのは威嚇の時に最も力を発揮する、と思っているので北朝鮮は核ミサイルを発射することはないと思っています。
と、急に政治的な話になってますが、僕が伝えたいことは「沈黙の艦隊」を読みましょうということです。現在、1−3巻まで無料です(2017/08/15時点)
独立国としての原子力潜水艦
かわぐちかいじの「沈黙の艦隊」では核の威嚇の力が如実に描かれています。
日米で秘密裏に共同開発された原子力潜水艦「シーバット」。その進水式にシーバットは姿を消し、再び登場した時に海江田艦長はシーバットは独立宣言をします。シーバットは原子力潜水艦でありながら国である、独立国「やまと 」であると。
核ミサイルを持ち、その存在を誰にも知られることのない海底の奥底まで潜水できる。全世界を標準に収められる最強の潜水艦なのです。
しかし、やまとにはある一つの疑念がつきまといます。それは、
やまとには本当に核ミサイルが搭載されているのか?
ということです。
しかし、1%でもその可能性がある場合、やまとが核ミサイルをもっているかもしれないという疑念は抑止力を発揮するのに十分なのです。
アメリカ、フランス、イギリス、中国、インド、パキスタン、イスラエル。現在、北朝鮮以外にも核を保有している国はあります。
日本は唯一の被爆国という言い方がよくされますが、それ以外に過去核ミサイルが発射された国はありません。このことからも核は射つものではなくて、抑止力として使うものであると言えます。
核の力に翻弄される各国
「沈黙の艦隊」では各国が保有しているかどうか疑わしい核ミサイルの存在に翻弄されまくります。終盤にアメリカのテレビ局にやまとの艦内を取材された時に、実は核ミサイルを搭載していないという映像を流します。
それでも、搭載しているかもしれない核の脅威にさらされながら、戦闘状態にある潜水艦や空母はもちろん、各国の首脳や国連までもが、海江田の発言、行動に自分の国の存在を問われるのです。
もちろん日本も例外ではありません。やまとと同盟を結ぶことは非核三原則に抵触しないのか。これを問うために政府は解散総選挙を行います。やまととの同盟をめぐるこの選挙の話もなかなか面白いです。
この核の抑止力を考えると、やはり北朝鮮が核ミサイルを発射するという選択肢は無いと思います。やはり核は抑止力として使うことで最大限の力を発揮するのです。使ってしまうと効果が弱くなってしまうのです。
ワイドショーのコメンテーターの話を聞くよりも沈黙の艦隊を読めば核の抑止力についてよくわかります。ぜひ読んでみて下さい。